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東京地方裁判所 平成8年(ワ)5301号 判決 1998年1月28日

原告

三井不動産ファイナンス株式会社

右代表者代表取締役

粟田秀幸

右訴訟代理人弁護士

松田耕治

溝口敬人

進士肇

被告

株式会社トゥエニーエイトコーポレーション

右代表者代表取締役

松永秀昭

被告

M

右両名訴訟代理人弁護士

久保田彰一

主文

一  原告と被告株式会社トゥエニーエイトコーポレーションとの間において、被告株式会社トゥエニーエイトコーポレーションが別紙物件目録(一)記載の建物の三階部分110.83平方メートルについて賃借権を有しないことを確認する。

二  原告と被告Mとの間において、被告Mが別紙物件目録(一)記載の建物の一階部分120.28平方メートルについて賃借権を有しないことを確認する。

三  訴訟費用は被告らの負担とする。

事実及び理由

第一  原告の請求

主文同旨

第二  事案の概要

一  本件は、建物の所有権を根抵当権の実行による競売に基づいて取得した原告が、建物の一部について賃借権を有すると主張する被告らに対し、その賃借権は根抵当権者を害する目的で設定されたから原告に対抗できないと主張して、被告らが賃借権を有しないことの確認を求める事案である。

二  争いがない事実など判断の基礎となる事実

1  株式会社K本社(以下単に「K」という。)は、平成二年四月二六日、前所有者の相良袈裟實から別紙物件目録(四)ないし(一〇)記載の土地(以下併せて「本件土地」という。)及び本件土地上に存在する建物を買い受けてそれらの所有権を取得したが、同年八月一七日、原告から五〇億円と二〇億円の二口の金銭消費貸借契約に基づいて合計七〇億円を借り受け、それらの貸金債務を担保する目的で、原告に対し、本件土地及び本件土地上に存在する建物に極度額を八四億円とする根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)を設定することを約し、原告は、その根抵当権設定契約に基づき、東京法務局港出張所同日受付第二六八四四号(以下、登記はすべて東京法務局港出張所受付であるので「東京法務局港出張所」の記載を省略し、また受付番号の記載も省略する。)により別紙物件目録(二)及び(三)に表示された建物(以下両者を併せて「旧建物」という。)並びに本件土地について本件根抵当権の設定登記を経由した。

ところが、現実には、本件根抵当権設定当時、旧建物は滅失して存在せず、本件土地上に存在していたのは、既に建築ずみであった別紙物件目録(一)記載の建物(以下「本件建物」という。)のみであった。すなわち、旧建物は、既に昭和四六年頃取り壊されて存在していなかったが、Kが相良から本件土地及びその上に存在する建物を買い受けた際に、旧建物について表示登記がされていたのを利用して、相良において旧建物の所有権保存登記を経由した上でKへの所有権移転登記を経たという経過があった。

(甲第四ないし第六号証、第一六ないし第一九号証、弁論の全趣旨)

2  Kは、平成三年五月一六日、前項の貸金の前受利息金の支払を遅滞し、前記金銭消費貸借契約の特約に基づき同日の経過により期限の利益を喪失したが、株式会社O(以下単に「O」という。)に対して、旧建物について平成四年三月一一日受付により所有権移転請求権仮登記及び同年四月九日受付により所有権移転登記が、本件土地について同年三月一一日受付により地上権設定仮登記及び同年四月一七日受付により賃借権設定仮登記がそれぞれ経由されたので、原告は、同年五月二一日、Oに対し、内容証明郵便による書面で旧建物及び本件土地に係る根抵当権の実行通知をし、その書面は、同年五月二七日Oに到達した。

(甲第四、第五号証、第八号証の一、二、第一九号証、弁論の全趣旨)

3  その頃、旧建物が現存せず、本件建物の保存登記がされていないことが判明したことから、原告は、平成四年七月三一日、東京地方裁判所に対し、本件建物について、根抵当権設定登記手続請求権を被保全権利として処分禁止の仮処分を申請して、仮処分決定を得、同仮処分決定に基づき、Kに代位して所有権保存登記を経た上で、同年八月四日受付により根抵当権設定保全の仮登記を経由し、その後同年一〇月六日受付により根抵当権設定の本登記を経由した。

ところが、右の所有権保存登記の後ほどなく、Kが本件建物についてOに対する所有権移転登記手続をし、Oは、平成四年九月一七日受付により同年三月九日売買を原因とする所有権移転登記を経由した。

(甲第一号証、第一九号証)

4  原告は、平成四年一一月一二日、改めてOに対して本件建物及び本件土地に係る根抵当権実行通知をした上で、同年一二月二一日、東京地方裁判所に対して本件建物及び本件土地について競売申立てをした結果、同地方裁判所において同年一二月二二日これらの競売開始決定がされ、差押登記がされて競売手続(以下において単に「競売手続」という場合はこの競売手続を指す。)が進められた。

原告は、その後、競売手続において本件建物及び本件土地を競落し、平成八年一月一二日代金を納入して本件土地とともに本件建物の所有権を取得し、同年一月一六日受付によりそれらの所有権移転登記を経由した。

(甲第一ないし第三号証、第七号証、第一九号証)

5  被告Mは本件建物の一階部分120.28平方メートルの全部(以下「一階部分」という。)について、被告株式会社トゥエニーエイトコーポレーション(以下「被告会社」という。)は本件建物の三階部分110.83平方メートルの全部(以下「三階部分」という。)について、それぞれOとの間で、いずれも、期間を平成四年六月五日から二年間、賃料を月額六〇万円、敷金を一二〇万円とし、当月分賃料を毎月一五日までに支払うとの約定の平成四年六月五日付の賃貸借契約書(乙第一、第二号証)を作成授受して賃貸借契約(以下これらの賃貸借契約を「本件賃貸借契約」という。)を締結し、また、いずれも、期間を平成六年六月五日から二年間、賃料を被告Mは月額一八万円、被告会社は月額一五万円、敷金を一二〇万円とし、当月分賃料を毎月一五日までに支払うとの約定の平成六年六月四日付の賃貸借契約書(乙第三、第四号証)を作成授受して本件賃貸借契約を更新し(以下この契約更新を「本件更新」という。)、それぞれ賃借権を有すると主張しているが、右の各賃貸借契約書にはいずれも仲介人欄に「S工務店(以下「S工務店」という。)代表取締役I」の記名押印がされている。

6  被告Mは、本件賃貸借契約当時、被告会社の従業員であったが、本訴提起後行方不明となった。

三  争点

本件の争点は、被告らは、いずれも原告の根抵当権の実行を害する意図で本件賃貸借契約を締結した者であり、背信的悪意の第三者として、根抵当権の実行の結果本件建物の所有権を取得した原告に対抗することができないとする、原告の主張の当否である。

(原告の主張)

以下のとおりであって、Oと被告らは、本件建物につき、原告とKとの間で根抵当権設定契約がされ、かつ、この根抵当権が実行されて競売の申立てがされる状態に立ち至ったことを知りながら、競売手続期間中の時間的間隙を衝き、執行妨害行為を通じて不当な利益を上げる目的をもって、本件賃貸借契約を締結したのであるから、被告らは、背信的悪意の第三者として、本件賃貸借契約に基づく賃借権を根抵当権の実行の結果本件建物の所有権を取得した原告に対抗することはできない。

1 貸主であるOの背信性について

Oは、次のとおり、原告の根抵当権の実行を妨害し、不当な利益を上げる目的で本件建物の所有権を取得し、本件賃貸借契約をしたもので、O自体が背信的悪意の第三者である。

(一) Oは、Kが原告に対する貸付金元利金の支払を停止し、他の債権者に対する支払も不能になって倒産状態にあった平成四年三月一一日、根抵当権者が競売準備中であることを知りながら、本件土地に地上権設定仮登記を経た上で、旧建物の所有権移転登記を経由した。

(二) Oは、本件土地について所有権を取得することなく、地上権設定仮登記と賃借権設定仮登記を経由しているが、本件土地付近では高額の権利金の交付がない限り、新規の地上権又は賃借権の設定はあり得ないことであり、Oには、真実本件建物の所有権を取得する意思はなかった。

(三) Oは、平成四年六月頃、本件土地の空地の一部に鉄骨造・亜鉛メッキ鋼板葺二階建の建物を建築して第三者に賃貸しているが、執行裁判所からも土地賃借権が正常なものとは認められないとされており、執行妨害行為の典型的行動を示している。

(四) Oは、原告から根抵当権実行通知を受けた平成四年五月二七日の直後である同年六月五日に、被告らと本件賃貸借契約を締結しており、競売の実行開始を知りながら敢えて本件賃貸借契約に及んだことが窺われる。

(五) Oは、当初旧建物について移転登記を経由した後、原告による本件建物の保存登記手続及び根抵当権設定仮登記に遅れて本件建物の所有権移転登記を経由しているにすぎず、現地調査をしないで、単に存在する既存の登記を前提に登記を踏んでいるにすぎない。

(六) Oは、本件賃貸借契約において事実上転貸自由とし、本件建物占有の事実の作出と収益の確保以外に関心を示さなかった。

(七) 本件建物の賃料は、本件賃貸借契約の当初は被告会社の関係と被告Mの関係とでいずれも月額六〇万円と同一のしかも相場とかけ離れた高額であったのに、原告の申立てによる競売手続が進行するや、平成六年六月の本件更新時には一挙に月額一八万円と一五万円に減額されるという不自然な動きを示しており、Oと被告らとの特別な関係を窺わせる。

2 仲介業者であるS工務店の背信性について

本件賃貸借契約を仲介したとされるS工務店も、次のとおり、Oの執行妨害行為の意図を認識し、事情を理解していたというべきである。

(一) S工務店は、元来、不動産賃貸借の仲介はほとんど行っていないに等しく、建築業を主たる業務とする工務店であり、本件賃貸借契約の仲介に当たっては、高額の仲介手数料を取得できる見込みがあるのにもかかわらず、一般の取引市場に情報を流すことなく、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)上の免許取得者が関与せず、仲介に際して重要事項説明書も交付せず、代表者の人脈を頼りに借主を探し出したにすぎず、被告らから積極的に依頼を受けておらず、被告らから仲介手数料の支払も受けておらず、正常の賃貸借仲介者にはほど遠い。

(二) S工務店は、Oの説明のみに基づいて仲介をしており、本件建物の登記簿謄本の確認すらしておらず、賃貸借の仲介者の行為として不自然である。

(三) S工務店とO、Kとの間では、同一人物が役員に就任しているなど、極めて密接な人的関係があった。

(四) S工務店は、本件建物及び本件土地以外の他の場所である文京区大塚三丁目、中央区日本橋人形町三丁目などにKが所有していた不動産について執行妨害行為と目すべき行為をしており、本件賃貸借契約の仲介も同様の意図に出ていると評価される。

3 借主である被告らの背信性について

(一) 本件賃貸借契約は、Oと被告会社との間のものとOと被告Mとの間のものとを通じて、同一日に同一筆跡により作成された同一の契約書式を用いた契約書面により締結され、しかも、賃貸借部分が一階と三階との違いがあり、床面積も異なるのに、契約内容も全く同一であり、通常のビル賃貸借契約においてはあり得ない不自然さを示している。

(二) 被告Mは、元々被告会社の従業員であるが、独立するために一階部分を賃借したはずであるのに、出店したのは数か月で、契約後二か月にも達しないうちに、一階部分の半分を被告会社関係者に転貸し、更に残りも第三者に転貸し、本件訴訟提起後は所在不明となり、本人尋問さえ不可能な状態にあり、被告会社のいわゆるダミー的存在であり、本件賃貸借契約において、被告らは実質的に同一人格視される。

(三) 被告会社は、三階部分について、月額六〇万円もの高額な家賃を負担することになるにもかかわらず、一方で婦人服の販売を目的としたとしながら現実には契約から一〇日後に麻雀荘に転貸するなど、真実収益が上がるかどうかを検討することなく、ただ占有を確保することにのみ関心を払っている。

(四) しかも、被告会社からの転借人の実質上の経営者は被告会社の当時の代表者であり、転借に係る保証金なるものも相殺勘定で処理されて現実の授受はない。

(五) 被告M名義による一階部分の占有の仕方を見ても、本件賃貸借契約の後、特別の理由もないのに半分に仕切られ、半分は特に内装をしないまま、衣料品店を営業していたが、間もなく閉店して居酒屋に転貸され、残りは被告会社の関係者に転貸されており、被告Mに当初から自己の営業のための使用収益の意図はなく、転貸により収益を挙げつつ占有を確保して執行妨害することにより利益を上げようとしたことが窺われる。

(六) 被告Mは、別件の執行手続において競売物件の占有を行うなど執行妨害行為を働いたことがあり、同じく執行妨害行為をしたと認定されている政治団体「××党」と関係が深く、被告会社の当時の代表者も同様である。

(七) 被告会社も、Kが所有する不動産に対して、第三者に居酒屋を経営させて執行妨害行為を働いたことがある。

(被告の主張)

以下のとおり、被告らには、何ら執行妨害の意図などなく、背信的悪意の第三者と目される筋合いはない。

1 Oの背信性について

(一) 本件賃貸借契約当時の被告らの関係者は、被告会社の実質的責任者であるTと被告Mの二名だけである。両名は、かねて面識のあったS工務店の及川伸幸から本件建物賃借の仲介を受け、その際に、本件建物の所有者がOであることを知らされたが、同社の代表取締役Kとは、本件賃貸借契約当日S工務店から紹介されて初めて知り合ったにすぎず、Oを本件建物の所有者でその賃貸人であるとしか認識しておらず、同社がどのような会社で、K又はS工務店とどのような関係にあるかは知らなかった。したがって、被告らに執行妨害についてOとの共同の意思を抱くことなどあり得ようはずがない。

(二) 被告らは、本件賃貸借契約成立前に、Oから明示的に他に転貸することの了解を得ており、単に契約書にその了解事項の記載が省略されているにすぎないから、通常の賃貸借契約と異なるということはできない。

(三) 本件更新時に本件建物の賃料が減額されたのは、周知のとおりいわゆるバブル崩壊に伴い賃料水準が下落したことに併せて、本件建物が著しく老朽化し、その修理のための支出が多かったことによるから、特に不自然とはいえない。

2 S工務店の背信性について

(一) S工務店の商業登記簿には、会社の目的として不動産の仲介業務が記載されていること、同社の元役員であったS'の妻が宅建業法上の免許を持ち、本件賃貸借契約にも立ち会っていること、高額な手数料の入る見込みがある場合でも、情報を市場に流さないこともあること、S工務店は、ついうっかりして重要事項説明書を交付しなかったにすぎず、被告らからは手数料を受け取っていること、仲介業者が借主に話しを持ち込むこともあり得ることからすると、原告主張のように、S工務店がOらの執行妨害の意図を認識して仲介行為を行ったと断ずることはできない。

(二) 通常の不動産仲介業者の実態において、不動産の仲介をする場合すべてに登記簿謄本を取り寄せてその権利関係を調査しているとは限らないことから考えて、S工務店に背信性があるとはいえない。

(三) O、S工務店、Kなどの間において、相互に役員が入っているが、そうだからといって、小さな会社では役員数の確保のために他人の名前を借りて役員に就任させておく必要があるから、これらの会社が密接な関係にあるとはいえず、まして背信的な意図があるということはできない。

(四) S工務店は、Kから、文京区大塚三丁目、中央区日本橋人形町三丁目の不動産の賃借権を買い取ったから仮登記を付けたにすぎないし、抵当権設定登記後に短期賃貸借契約をすることは世上まま行われていることであり、S工務店がこれらについて執行妨害行為をしていたわけではない。

3 被告らの背信性について

(一) 被告らは、本件賃貸借契約の七、八年前から不動産賃貸の仲介を受けたことなどから昵懇にしていたS工務店の代表者Iから本件建物賃貸借の仲介を受けたが、Iはこれまで被告会社との不動産賃貸借仲介業務等において間違いを犯したことがなく、全面的に信用できた。そのため、Iから勧められた時に迷うことなく、本件建物を賃借することにしたのであり、被告らは、本件建物の所有者がOであることを信じており、それ以上に本件建物の所有者が誰であるか、本件建物に担保物権が設定されているかなどの調査はしなかった。

したがって、本訴までは、原告とK、KとOの関係がいかなるものか知らなかったし、知る由もなかったから、被告らに背信性の悪意などあり得ようもない。

(二) 被告Mは、被告会社の従業員であったが、機会があったら独立して事業を営みたいと考えていたところ、Iから被告会社に本件建物の賃貸借の話しが入った。そこで、被告Mは、独立を決意して、被告会社に三階部分の借受け方を申し入れ、その了解を得て、一階部分は被告会社が借り受けることとなった。ところで、本件賃貸借契約の仲介人は、被告らと親しくしていたIであったので、同人が契約締結に必要な契約書用紙を準備した上で、必要な記載事項を自ら記入して、本件賃貸借契約締結に至ったのであり、この契約にはどこにも不自然さはない。

(三) 被告Mが一階部分の半分を転貸していることについては、本件賃貸借契約の際に、Oから、一階部分の半分を仕切って転貸してよいことの了承を受けており、また、残りの半分については、現実に相当期間にわたり衣料品の販売店として使用しているのであるから、被告Mによる本件賃貸借契約締結が被告会社のダミーであるということはできない。

(四) 被告会社のTは、元々三階部分を他に転貸して麻雀荘として使用させることをほぼ決めており、Oからもその了解を取っていたのであり、被告会社による本件建物の使用方法が正常でなかったとはいえない。

(五) 一階部分の使用方法として、被告Mが衣料品の店舗部分の改装をしなかったのは、商売がうまく行くか確かめる必要があったからであり、現にその目処がついてから改装もしており、残りをOの了解の下に転貸したのは、経済状態の変動が激しい時期として営業形態の変更もやむを得なかったからであり、いずれにしても、被告Mに執行妨害の意図があったというのは相当でない。

(六) 被告Mや××党は、別件の競売事件において原告の要請に従い円満に建物を明け渡しており、この事件に関係する不動産の占有をしていたことから、本件において何らかの背信性を認定するのは不当である。

(七) 被告会社が別件でK所有の建物を占有していたのは、正当な建物賃貸借契約に基づくものであり、執行妨害に加担する意図に基かないから、本件において背信性のあったことの根拠にはならない。

四  証拠関係は、本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

第三  争点に対する判断

一  証拠と前記第二の二の事実を総合すれば、次の事実が認められる。

1  本件建物の敷地である別紙物件目録(七)、(一〇)の各土地と旧建物である同目録(二)、(三)の各建物については、平成二年四月二六日受付によりKに対する所有権移転登記がされ、平成三年一一月一三日受付によりコスモ信用組合からの仮差押申立てに基づいて仮差押登記が経由されていたが、その後、Oを権利者として、右の各土地については、平成四年三月一一日受付による地上権設定仮登記、同年四月一七日受付による賃借権設定仮登記が経由され、また、右の各建物については、同年三月一一日受付による所有権移転請求権仮登記(原因は同年三月九日売買予約)、同年四月九日受付による所有権移転登記(原因は同年三月九日売買)が経由された。その間、右の各土地については、同年二月一四日受付により横浜市による差押も登記されていた。

(甲第二ないし五号証)

2  本件賃貸借契約に係る契約書(以下この契約に係る契約書を「本件契約書」という。)は、O代表取締役のK、被告会社の当時の代表取締役T(以下この資格のTを単に「T」ということがある。)、被告M、S工務店の当時の代表取締役I、S工務店の従業員らが関与して、三階部分に係る被告会社の分と一階部分に係る被告Mの分と別々に作成されたが、用紙は、不動文字により契約条項が印刷された市販の書面が用いられて同一であり、S工務店の従業員である同一人物の手書きにより書込みがされて完成された。

被告会社の分と被告Mの分の双方を通じ、期間は平成四年六月五日から平成六年六月四日までの二年間と書き込まれ、賃貸借の対象となる貸室建物としては、OのKの指示に基づき、本件建物ではなく、旧建物に含まれる別紙物件目録(二)の建物の家屋番号である「三六番七」が表示された。

一階部分は、人通りのよい通路に直接面し、また、面積も120.28平方メートルに達し、店舗営業にも極めて適合性が高いのに対し、本件建物にはエレベーターが設置されておらず、三階には階段を通じてしか上がることができず、三階部分は、事務所、麻雀荘等の限られた用途にしか使用できず、しかも、面積も110.83平方メートルに留まるのに、本件契約書において、三階部分も一階部分も、賃料額が月額六〇万円、敷金が一二〇万円という同一の対価に係る条件が記入されている。そして、本件契約書には、賃借権の譲渡転貸を禁ずる文言が明記されており、被告らは本件契約書の作成時に賃貸人側のKから第三者に対する転貸を承諾するとの言明を受けたとされるにもかかわらず、本件契約書には特に禁止文言を変更する記載はされていない。

(甲第四号証、乙第一、第二号証、証人T、証人I)

3  三階部分は、本件契約書の作成授受された後、平成四年七月一三日の時点までは、建物としての現実の用途には使用されなかったが、同年八月二一日の時点までには麻雀荘として使用されるようになった。

すなわち、被告会社は、この間、転借人高杉裕美なる女性との間で同年六月一五日付の賃貸借契約書を作成授受して、期間を三年間、賃料を月額八〇万円として三階部分を転貸したが、その転借人は実質的には、Tが専務と呼ばれて事実上経営していた株式会社東京コーポレーション(以下「東京コーポレーション」という。)の代表取締役である黒子道雄であり、黒子は、この転借部分を用いて麻雀荘を営むようになった。その転貸に係る賃貸借契約書には、保証金を五〇〇万円とすることが明記されていながら、その保証金は相殺勘定と称して現実には授受されなかったが、黒子は、この三年間の期間を通じて被告会社に月額八〇万円の賃料を支払い続けた。その後、麻雀荘は、ビデオボックスなる営業と交替し、更にいわゆるエステ店としてマッサージ等の風俗営業が営まれるようになった。

しかし、その後、平成八年一二月末の時点以降は、また使用されない状態に戻った。

なお、Tは、陳述書においては、被告らとして婦人服の販売をするのに適当であると考えて、本件建物を賃借することを決心したと述べていたところ、本件での証人尋問においては、本件賃貸借契約時には、三階部分を事務所として使用するか店舗として使用するか決断しておらず、その使用方法について様々な案を出したため、使用を開始するまでにしばらくの期間が経過したと証言するに至っている。

(甲第九ないし第一五号証、第一九号証、第三二号証、第三九号証の二、第四一、第四二号証、乙第七号証、証人T)

4  他方、一階部分も、本件契約書の作成授受後すぐには使用が開始されなかったが、その後半分ずつ二区画に仕切られた。

うち一区画では、平成四年八月頃までに被告Mにより衣料品等を段ボールに並べて粗雑な方法で販売する類いの洋品雑貨店舗が開店されたが、数か月程度で閉店され、平成五年九月三〇日の時点では何にも使用されていなかった。その後、平成六年に至り、居酒屋として開店営業されるようになった。

また、他の一区画は、平成四年一一月一〇日の時点では居酒屋として内装工事中で、まだ使用されるに至ってはいなかったが、その後、転借人により居酒屋の営業が行われるようになった。すなわち、被告Mは、本件建物の一階の半分を、大竹丈治なる人物との間で、同年七月二五日から二年間賃貸するとの賃貸借契約書を交わしたが、その大竹は、実は内装業者で東京コーポレーションと取引関係が深く、その契約書の仲介業者欄には被告会社の記名押印がある。本件建物のその部分ではその後飲食店が営まれている。

そして、被告Mは、その後、本訴の提起を受けたのち、所在を明らかにしないまま行方不明となった。

(甲第九ないし第一五号証、第一九号証、第二五号証、第三一号証、第三九号証の二、証人T、弁論の全趣旨)

5  賃料額は、当初の本件契約書においては、前記のとおり、三階部分と一階部分の両者を通じて、同一の月額六〇万円という額が記載されていたが、この額は近隣の相場に比していずれもかなり高かった。

ところが、本件建物の競売手続進行中の本件更新時に作成された平成六年六月四日付の賃貸借契約書には、三階部分は月額一五万円、一階部分は月額一八万円という一挙に大幅に下げられた額が記載された。

(甲第一九号証、乙第一ないし第四号証)

6  その間、Oは、平成四年六月頃、本件土地上に急遽建物を建築し始め、約一か月でこれを完成させて、同年八月二八日受付により家屋番号三六番一五の二の建物として保存登記を経由したが、後に競売手続で作成された物件明細書においてこの建物に係るOの土地賃借権について「Oの賃借権は正常なものとは認めない。」と記載されるに至った。

(甲第七号証、第一九号証)

7  被告会社は、昭和六二年二月二日に設立された株式会社で、紳士服、婦人服、靴及び皮革製品の製造、販売及び卸業、宝石、貴金属及び服飾アクセサリーの販売、絵画、美術品、骨とう品の販売及び賃貸、日用雑貨の販売及び卸業、ゴルフ用品、スポーツ用品の販売並びにこれらに附帯する一切の業務を目的として掲げており、不動産仲介の業を営んだこともあり、本件賃貸借契約当時、前記のTが代表取締役であったが、本店所在地に事務所があったのみで、常設の店舗を展開してはおらず、従業員は数人に留まり、年間の売上額も一億円程度の規模の会社でしかなかった。

(甲第二八号証の一、二、証人T)

8  被告Mは、本件賃貸借契約当時、被告会社の従業員であり、本件契約書には、住所地を「渋谷区恵比寿4―8―10」と表記したが、その住所地は、被告Mが、当庁平成三年(ケ)第一五二〇号不動産競売事件に係る当庁平成六年(ヲ)第一四五〇号買受人のための保全処分事件の決定により、××党ことSらとともに、退去を命ぜられた建物の所在地である。その決定では、被告Mらとともに相手方とされた株式会社協西エージェンシーなる会社は、担保権の実行等を妨害することになることを知りながら敢えてその競売事件の債務者兼所有者から建物の賃借権設定を受けて、被告M、××党ことSらに建物を転貸し、被告Mらは同会社の意を受けてこの建物の占有を続けていると認定されている。

また、被告Mは、後に本件更新の際には契約書に住所地を「東京都渋谷区道玄坂二丁目十九番三号」と記したが、その住所地は、右翼政党を標榜する××党の所在地と同じである。

なお、被告会社は、この××党と同じ部屋を事務所として使用していたことがあり、Tも、××党の会計を務めたこともあり、その関係者であり、現代表取締役のHもその関係者である。

(甲第三三ないし第三八号証、乙第一号証、第三号証、証人T)

9  Kは、東京都港区西麻布一丁目六番九三(住居表示は一丁目一三番一六号)の土地を所有し、平成二年三月一二日受付によりその土地に三銀モーゲージサービス株式会社のために抵当権を設定登記するなど担保権設定をした後に、平成四年三月一八日受付により有限会社ジェーシーエ出版のために地上権を設定して仮登記手続をしたところ、有限会社エム・ワイ・ティー・ジャパンは、同年四月一五日受付によりその地上権移転仮登記を経由した上、同年四月二四日受付によりその地上建物について所有権保存登記を経ていたが、同社との間で被告会社は、期間を同年五月一五日から三年間、保証金を三〇〇〇万円とする記載内容の賃貸借契約書を作成授受してこの建物を占有したが、右の土地の競売開始決定をした裁判所から現況調査を命ぜられた執行官に対し、被告会社代表取締役Tらは、この土地の占有権限について説明する陳述をすることができず、右の裁判所作成の物件明細書には、有限会社エム・ワイ・ティー・ジャパンはこの土地の占有権限がないと明記された。

(甲第二九号証の一、二、第三〇号証の一ないし三)

10  本件契約書、本件更新の契約書面に仲介人として表示されているS工務店は、専ら建築業を営んでいる株式会社であり、不動産業もその営業内容に含まれてはいたものの、不動産仲介の営業実績たるや年に一、二件程度の微々たるものでしかなく、本件賃貸借契約まで、Oとの不動産の取引仲介事例は全部で一、二回程度しかなく、被告会社との不動産取引の仲介例も一回程度しかなかった。

S工務店において宅建業法上の免許を受けていたのは、取締役Sの妻だけで、本件建物の賃貸借契約書作成に主として関与したのは、従業員の及川信幸であり、他に関与したのは当時の代表取締役I程度であった。

そして、S工務店は、本件賃貸借契約の仲介に当たり、特に本件建物の登記簿謄本を取り寄せるなどの調査をしたことはなく、契約当事者に交付すべき重要事項説明書の作成をしたことはなく、通常の不動産取引市場に本件建物の賃貸借に関する情報を提供することもせず、また被告らから本件賃貸借契約に係る仲介手数料の交付を受けたこともなかった。

(甲第二一号証の一ないし五、証人I)

(なお、証人Tは、被告らからS工務店に賃料一か月分の仲介手数料が支払われたと証言するが、証人Iの証言と対比して採用できない。)

11  被告会社のTは、従前からS工務店と取引もあり、その代表取締役Iや及川と昵懇の仲にあった。

しかし、被告会社がS工務店に対し本件賃貸借契約前に積極的に建物を賃借することの仲介を依頼したことはなく、本件契約書作成に至ったのは、仲介人となったS工務店の及川が被告会社の側に話しを持ちかけた結果であった。

そして、そのS工務店には、その直前にO代表取締役のKが本件建物の賃貸借の話しを持ち込んだという経緯があった。

(証人T、証人I、弁論の全趣旨)

12  前記のとおり、S工務店において主として本件契約書作成に関与した及川は、Kが本件建物についてOに所有権移転登記手続をしてほど遠くない平成四年一〇月一二日、Kの取締役に就任した。佐藤幸男が、同じ日に、Kの代表取締役に就任し、平成九年一月三一日までその地位にあったが、佐藤は、Kが平成七年一一月一日平成建設株式会社と商号変更した際に、その取締役に就任した。

また、他方で、及川は、平成八年一二月三〇日、Oの取締役に就任した。

さらに、平成四年五月当時S工務店の取締役であったS'、平成五年四月以降S工務店の取締役であった名里洋は、いずれも平成三年二月二五日以降、S'は平成六年一二月二六日まで、名里は平成八年一二月三〇日まで、それぞれOの取締役であった。

(甲第二〇号証の一ないし四、第二一号証の一ないし五、第二二号証の二)

13  Kは、東京都文京区大塚三丁目三八番二三の土地と同所家屋番号三八番の四の二の建物を所有し、平成二年一〇月一八日受付によりその土地、建物にこくぎんリース株式会社のために抵当権を設定登記するなどの担保権設定をしたが、S工務店は、その後に、右の土地について平成四年三月一八日受付による地上権設定仮登記及び同年四月一八日受付による賃借権設定仮登記、右の建物について同年三月一八日受付による所有権移転仮登記及び同年三月二五日受付による所有権移転登記をそれぞれ経由した。

また、Kは、東京都中央区日本橋人形町三丁目六番五、一二の各土地を所有し、平成二年四月一九日受付により日榮ファイナンス株式会社のために抵当権を設定するなどの担保権設定をしたが、S工務店は、その後に、右の各土地について平成四年三月一八日受付による地上権設定仮登記及び同年四月一八日受付による賃借権設定仮登記をそれぞれ経由し、その土地上に簡易テントを設置して居酒屋を営業していた。

(甲第二三、第二四号証の各一、二、弁論の全趣旨)

14  Tは、不動産業に関与していたことから、Kが倒産したことを倒産後ほどなく聞いて知っており、また、S工務店代表者のIもKの状況を知っていた。

(証人T、証人I)

二 前記一の認定事実と前記第二の二の事実によれば、Oは、Kにより本件土地及び旧建物に本件根抵当権が設定されており、既にKが債権者に対する支払をすることができない状態にあり、したがって将来確実に本件根抵当権が実行されることを知りながら、本件土地に地上権設定仮登記を経由し、原告により代位による本件建物の保存登記をされるや速やかにその所有権移転登記を経由したこと、本件契約書に仲介人として表示されたS工務店は、不動産賃貸借の営業実績がほとんどないに等しく、現実にも本件建物の賃貸借について仲介業者として践むべき行為をほとんどしていないこと、K、O、S工務店の三社は、相互に深い密接な人的関係にあるが、これら三社、被告会社及び被告Mは、いずれも、抵当権者による不動産競売の際に執行妨害と目すべき行為を累々と重ねてきた前歴があり、互いに協力した跡も見受けられること、本件賃貸借契約当時の被告会社及びS工務店の代表者はいずれもKの右のような経済状態を知悉していたとみられること、被告らは、元来建物を賃借する積極的な意向などなかったのに、Oが原告から本件根抵当権実行通知を受けた直後に、Oの意向を受けたS工務店からの働きかけに従って本件契約書を作成授受したにすぎないこと、被告会社の賃借部分である三階部分と被告Mの賃借部分である一階部分とで賃料額の形成において明らかに差異を生ずべき事情があるのに、本件契約書には全く同一額でしかも近隣相場に比して高い不自然な賃料額が記載されていること、ところが、それから二年後の、競売手続が進行して買受人に対抗できれば買受人からその賃料額を主張されることが現実的となった本件更新時の時点で作成された契約書には、これまた不自然に四分の一近くにまで一挙に減額された賃料額が記載されたこと、被告らは本件賃貸借契約時からある程度経過してようやく本件建物の現実の使用を始めていること、本件賃貸借契約に際して予定されていた本件建物の用途は婦人服販売のためであったはずであるのに、本件建物の使用方法は本件賃貸借契約時から相当経過して初めて確定され、しかも、被告Mの賃借部分を含めて、大部分が被告会社の当時の代表者と関係の深い者らに転貸され、当初の予定とは異なる用途に使用されており、被告らは、無計画にでも本件建物を占有することしか念頭になく、特定の用途に本件建物を使用することには意を用いておらず、その関心は専ら本件建物の占有の確保にのみあったことが、それぞれ明らかである。

これらの事実を総合して考慮すると、O、S工務店、被告らは、いずれもKの経営が破綻して、本件建物の競売が必至であることを知り、Kの担当者を含めて相互に明示的に又は黙示的に意を通じて、適法な占有者の外観を作出してその競売手続において様々な経済的利益を得る目的をもって、本件建物の占有権原の外見を作出するために、まずOにおいてKからその所有権の移転を受けた上、厳密な契約内容の検討すらしないまま、Oを賃貸人、被告らを賃借人、S工務店を仲介人に仕立てた本件契約書を作成して、本件賃貸借契約の締結の外形を整えて、被告らにおいてともかく本件建物を占有してきたと推断することができる。

そうすると、本件契約書に記載されたとおり本件賃貸借契約か真実平成四年六月五日に締結されたかどうかの点にすら疑問を差し挟むべき余地があるが、少なくとも、被告らは、背信的悪意の第三者として、本件根抵当権の実行により本件建物の所有権を取得した原告に対し、本件建物に係る賃借権を対抗することはできないというべきである。

三  もっとも、被告らは、被告会社のTも被告MもOの代表者Kとは本件賃貸借契約のときが初対面で、Oを本件建物の所有者としてしか認識していなかったから、被告らには執行妨害についてOと共同の意思を抱く余地はなかったと主張し、Tは、乙第七号証及び証言においてその主張に添う供述をする。

しかしながら、前記一、二における認定事実によって明らかな、被告会社及び被告Mにはいずれも競売手続に介入して執行妨害と目される行為に出た前歴があったこと、S工務店は同様の前歴が再三にわたりあったところ、被告会社のTとS工務店との間、S工務店とOとの間、被告会社と被告Mとの間には、それぞれ親密な間柄にあったのであるから、被告らには、このようなS工務店の前歴、Oの執行妨害の意図は当然に知られていたと推認できること、本件建物の賃貸条件は被告らにより厳密にはほとんど検討されなかったままであることを併せて考えると、被告らがOの代表者Kと本件契約書の作成時に初対面であったかどうかを問うまでもなく、被告らがO、S工務店等と互いに直接又は少なくとも順次、明示的に又は少なくとも黙示的に意を通じて、適法な占有者の外観を作出して競売手続において不当な経済的利益を得る目的をもって、本件建物の占有権原の外見作出のために、Oとの間で本件契約書を作成授受したことを見て取ることができ、被告らの右の主張は採用の限りでない。

また、被告らは、本件更新時に本件建物の賃料が減額された理由は、いわゆるバブル崩壊に伴い賃料水準が下落したことなどが原因であり、特に不自然とはいえないと主張し、T、Iは、いずれも、これに添うように、陳述書(乙第六、第七号証)及び証言中において、景気が悪くなり、賃料水準が低くなったため被告らは経営を続けていけなくなったため、本件更新時に賃料の減額を申し出てOから減額を認められたと供述する。

しかしながら、前記認定の本件建物の賃料の減額幅は、一般的ないわゆるバブル崩壊によっては説明できないほどの大幅なものであり、しかも、三階部分について、被告会社は、黒子から本件更新時を挾んで三年間にわたり一貫して月額八〇万円の賃料を受領していたことが認められる(証人T)から、T、Iの右の各供述は採用することができず、被告らの右の主張も失当である。

四  よって、原告の請求はいずれも理由がある。

(裁判官成田喜達)

別紙物件目録<省略>

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